読者向けコラム(カッコイイライダーになるために!)

バイク小説なんてものは、最初は一切興味が無かった。言い回しがクサくて苦手意識があったのだ。同じような理由から「バイクは好きでも小説は別に……」というライダーは多いと思う。

まず“オートバイ”という表現の多用が僕は苦手だ。今の若いライダーはオートバイという呼び方を滅多にしない。「バイク」という呼び方が若い子の定番の呼び方だ。僕もバイクと呼ぶし、もしくは「モーターサイクル」「モーターバイク」といった呼び方をする。“オートバイ”という呼び方は日常会話では死語に近いと思う。

小説に登場するバイクの傾向も大きな理由だった。僕が知る限りのバイク小説では、国産メーカーのレトロ系やスポーツ系のバイクが多い。ハーレーのようなクルーザーが好きな僕にとって、登場するバイクが興味の対象ではなかったのだ。

そんな理由かバイク小説には自分から近づくことは無かった。

だが、ある知り合いから一冊の本を貸してもらったことで僕のバイク小説に対する意識は大きく変わった。その本とは、武田宗徳さん著「ライダーズストーリー」。一作品数ページでまとめられた短編集だった。

「短編だから読みやすいよ」

そう言われてしぶしぶ読みはじめたのだが、嵌ってしまった。

短編なので読みやすかったというのは大きかった。そして作品が変わるごとに様々なバイクが登場したのも良かった。国産から外車、ロードバイクからスクーター、僕の大好きなハーレーダビッドソンも登場していた。

表現も小難しいものはなく、ストレートにバイクの魅力が伝わってきた。書き手自身が平凡な一人のライダーというだけあり、視点も読み手の僕と近かったのだろう。共感できるシーンが多かった。

「ライダーズストーリー」という素朴な短編集のお陰で、以降バイク小説を好んで読むようになった。今は片岡義男さんの作品に夢中だ。

「クサイくだりだなっ」なんて思ってしまう言い回しは多いが、素直にクサイことを自分でも思えるようになったら、ライダーとして深みに入り込むことができそうな気がしてきた。僕はクサイのが嫌いだったのではなくクサイ自分になるのが恥ずかしかっただけなのだ。

みんなもバイク小説に苦手を感じていたら、一度読んでみよう。そして恥ずかしさを捨ててクサイライダーになってしまえ(笑)!